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日本労働評議会(労評) 神奈川県本部
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2024/05/18 (Sat) 14:15
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2023/01/19 (Thu) 01:29

 

目に余るほど物価上昇が続いている。コンビニやスーパーにいけば、野菜、肉、日用品等、ありとあらゆるものが値上げである。さらにいえば、電気やガスも価格上昇の一途であり、歴史的なインフレ状態にあるのは火を見るよりも明らかだ。


日銀の発表によれば、企業物価指数は前年比9.7%上昇をたたき出し、記録上最高値となっている。さらに前月の消費者物価指数は前年同月比がついに4%となり、狂乱物価と言わずして何というだろうか。


しかし、この物価上昇率を大幅に上回る値上げをしたのが、東京特別区・武三交通圏(23区内、三鷹市、武蔵野市を指す)におけるタクシー運賃だ。昨年11月14日に変更され、その上昇率はなんと14.24%というから、それはもう狂気の沙汰である。初乗り運賃は420円から500円、加算額が80円から100円、乗車距離は初乗り1.052㎞から1.096km、加算距離が233mから255mになり、加算距離が若干伸びたとはいえ大幅な値上げであることに変わりはない。




———タクシー値上げをめぐる問題。

ロイヤルリムジングループ(金子健作代表)の2社(ロイヤルリムジン株式会社及び株式会社ジャパンプレミアム東京)は、この度の運賃値上げについて反対の意思を表明し、公定幅運賃ではない従来通りの運賃を関東運輸局に届け出た。公定幅とは、公共交通における安全や労働条件を守るために設けられた制度で、所轄の運輸局が運賃の上下幅を定め、一定の地区における運賃の下限割れ、上限割れを未然に防ぐものだ。


公定幅運賃という制度自体には合理性があるが、今回の問題は別にある。リムジンの金子社長は自身のブログにて以下のように表明している。


『今回の運賃改定にあたり、燃料高騰に対する対応としてという理由を主にしていますが、近年画期的で低燃費なハイブリット車両が導入され、むしろ燃料費は下がっている状況です。更にこの車両の導入にあたっては、東京都及び国から多額の補助金を頂戴しており、今すぐ運賃に転嫁する理由は全くありません。

むしろ直近の東京においては、繁忙時にタクシーが全く足りない大幅な供給不足を生じている状態で、今回最初に値上げ申請した業界大手の会社では、1台あたり1日6万を越えるようなかつて無い高営収の状態になっております。更に近年拡大する配車アプリ『GO』では、高額な配車手数料をお客様から取る方針も発表しています。弊社グループにおいては、お陰様で繁忙時にはタクシー車両が全く足りない大幅な供給不足が生じている状態で、弊社の予約を中心として営業をしているジャパンプレミアム社では、1日1台あたりの売上が既に業界平均を大きく上回る7万まで回復してきており、適正な利潤が取れている為です。』


(引用元:リムジンブログ


今回の値上げ理由が、①原油価格の高騰②新車両やキャッシュレス決済機器の導入③乗務員の労働環境改善のため改定率14.24%のうち約8%を賃金アップなどの費用に見立てるといった内容だった。しかし、①②の理由は背景事情をふまえて否定している。③についても、タクシー業界は歩合制による賃金体系が多いため、経営努力によって顧客から選ばれるタクシー会社となれば、おのずと営収も増加し、値上げに頼らずとも乗務員の待遇改善に繋がるのではないか。




———なぜ、この経営努力に対して国土交通省は妨害するのか?

これらのことから、14.24%の値上げは本当に必要なのか、実は周到に精査して決められたとは言い難いのだ。顧客の側に立たず、何の経営努力もせず値上げをするというのは、例えロシアのウクライナ侵略、円安ドル高の二重構造のインフレ要因があるとしてもほぼ便乗値上げに近い。


ここ数年、より一層生活が厳しい状態になっているのは紛れもない事実だ。国民が様々な値上げに苦しんでいるのだから、公共交通機関としても料金を慎重に決めるべきである。今回の値上げも、大手である4社はどのくらい値上げ幅を抑える努力をしたのかは一切分からない。


リムジングループのように、企業努力で料金据え置きでも経営ができると判断した会社に対して、国土交通省が値上げを強制し、従わなければ業務停止命令を下そうとしているのだ。中小企業の経営努力を無視して一律値上げを強制することは、病院に通う年金生活者や身体が不自由でタクシーが必要不可欠な人にとって、物価高ラッシュで経済的に疲弊している国民の生活を直撃することは疑いない。


確かに、経営努力を行っても値上げせざるを得ないという企業もあるだろうし、値上げは致し方ない部分もある。しかし、「経営努力の結果、値上げする必要がない」と表明している会社に対して、値上げを強制する国土交通省のやり方は断じて許せるものではない。資本主義社会にあっても、顧客路線を歩もうとしている企業に対する不当な扱いであり、許し難い行為である。





———国交省の行政処分反対は労働組合の社会的使命。

リムジングループの国交省への異議申し立てを傍観し、孤立させることは、国の横暴な支配を許すことになる。経営努力で値上げをしないという道理を通すため、我々労評としても声明をあげねばならない。23区、三鷹市、武蔵野市だけではない。地方各地でも値上げに向けた動きが出ているのだ。もはや都心部だけの問題ではなく、全国的な問題として扱われることになるだろう。


今回値上げを承認した関東運輸局は横浜にある。神奈川県本部としても異議申立てに連帯し、さらに亀戸周辺でのデモ・示威行動についても連帯の意思を表明する。


「便乗値上げ」と「強制値上げ」は国民目線で許し難い事案であり、労働組合の路線や理論を知っているかいないかという話ではない。現実から出発し、国民としてこのような事案があることを認識し、不条理と闘い、道理を通していくということが重要ではないだろうか。

労評は様々な階級階層の人々と統一戦線を組み、政府と独占資本の強権的支配と闘っていく使命がある。

この度のリムジングループへの弾圧を許さず、国に正しい判断を下すよう行動を起こそう!

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2022/11/10 (Thu) 17:30

qb

QB HOUSEで起きている思いがけぬ「中間搾取構造」

 労働者が生活をするためには、労働をすることが欠かせない。そして、労働は社会的なものであり、労働をすることで社会を支えている。その労働を提供する会社が、もし意図的に労働者の労働条件や賃金を差別していたとしたらどうなるだろうか。

 はたまた、使用者が求人情報と違っていたとしたらどう思うだろうか。それも、零細のワンマン社長ではなく、上場企業で起きていたとしたら? ―――「そんなことあり得ない」と思うだろうが、現実はそうでもなかった。それがQB HOUSE「古川エリア」から社会問題化したのだ


面接官が使用者?福利厚生が受けられない「正社員」


 理美容業界で大手であるQB HOUSEは、様々な求人サイトで理・美容師の求人募集をかけている。就職を希望する労働者からみれば、QB HOUSEを経営する会社が使用者となり、大手のブランドによる安定、安心の環境で働けると思っていた。しかし入社してみると、どこかきなくささを感じるシーンが多い。

例えば、
①雇用契約書が作成されていない
②入社後QB HOUSEではなく、古川マネージャーの個人事務所に雇用されていた事が分かった
③合意なく賃金が下げられてしまう
④入社後何年も経ってから雇用契約書にサインを求められる
⑤法人のはずなのに社会保険に加入させてもらえない

 挙げれば数多あるが、思いつくところだけでもこれだけある。なぜ大手のQB HOUSEでこんな問題が起こるのか?―――そこに大きな落とし穴があることも知らず、知るきっかけすら奪われていた。特に②は重大な問題であり、エリアマネージャーの存在が労働者の労働条件の差別、抑圧に繋がっていると認識できるためにはQB HOUSEの搾取構造を理解しなければならない


―――搾取構造のカラクリとは?

 QBは1200円カット一択のため、月間のカット数が分かればすぐ売上を計算できる。例えば800人カットすれば、

1200(円)×800(人)=960,000円

となる(厳密には消費税やツキイチキャンペーンの利用分もあるので、若干の変動はあるが概算は出すことができる)。

 人件費、店舗の光熱費、テナント料といった店舗運営に必要な経費があるが、営業利益(諸経費を差し引いた利益)が出るからこそ、利益を追及する「会社」として成立する。しかし、エリアマネージャーが使用者の店舗では位相が違うのだ。

エリアマネージャーが利益を奪っている!?

 売上の計算方法こそ同じだが、そこから必要経費を差し引いて営業利益を出すのではなく、売上の52%がQBネット本社からエリアマネージャーに支払われる業務委託契約を交わしている。たとえば、800人カットの52%は約50万円である。そしてエリアマネージャーは、獲得した50万円の中から労働者の賃金を支払い、残りを中間搾取してしまうのだ。

 なぜかというと、エリアマネージャーは店舗を所有せずQBネットから運営を委託されているだけなので、施設管理権を持たず、店舗を管理する費用は考えなくてよい。つまり、52%の利益から労働者の人件費のことだけ考えれば良いようになってしまっているのだ。

では、本来の労働者の賃金はどうなるだろうか?ここまで掘り下げて考えてみてほしい。

 800人をカットし50万円の利益を作ったとしても、社会保険にも入れず、賃金も見合っていないとなれば、浮いた利益がどこに行っているか? ―――エリアマネージャーに搾取されているのである。

 QBネットに直接雇用されていれば起き得ない問題だが、エリア労働者のなかで起きている。これがQB HOUSEの正社員を名ばかり正社員たらしめる諸悪の根源となっている。




エリア労働者は何をなすべきか?

 ここで「労評労働組合の団結の力」である。

 おそらく、漠然とした不安・不満が労働者の中に渦巻いており、エリアマネージャーが使用者だから「文句は言えない」「逆らったら何をされるか分からない」と思っている人がいるのだと思われる。

 何かあった時に相談できる組織は必要だし、場合によっては労働条件が改悪されないために労働組合として要求を掲げ、闘う道も考えられる。現に、労評QB分会の組合員は組合を作ってから労働条件が下げられることは無くなった。―――当然である。組合員の労働条件の不利益変更をするためには合理的説明と、具体的な証拠をもって使用者は説明しなければならず、上下関係を基礎とした威圧による不利益変更は違法行為であり、出来ないのである。

 労働組合に加盟するだけで使用者と対等な交渉が可能となり、納得のできない不利益変更に応じる必要もなくなる。過去に納得していないのに賃金が下げられた組合員もいるし、それによって労働基準監督署の監査まで入る事態となっている。しかし労基署は労働者の味方ではなく、あくまで労働基準法の違法性があった場合に司法警察員として機能し、監査、是正勧告、場合によっては逮捕などを行う機関であるため、労働環境をよくするという目的で動くわけではない。

 だからこそ労働者のための組織が必要であり、それこそが「労評労働組合」だ。

同じ職場で働くもの同士、団結して使用者の不当な行為をはねのけていこう!



日本労働評議会 神奈川県本部
委員長 佐藤 美悠人
労評QB分会
分会長 笠川 隆

TEL:090-2607-1152
お問い合わせメール
2022/11/08 (Tue) 19:37

労評の中小企業路線

中小企業労働者が日本社会を支えている

 労働者の労働なくして日本社会は一日たりとも成り立ちません。わが国の労働者の構成にあって、中小企業労働者は大企業、官公庁労働者と比べて圧倒的多数を占めています。しかも、日本の社会的生産を支えてきたのは、この圧倒的大多数を占める中小企業で働く労働者です。とりわけ、中小零細企業の製造業で働く労働者は日本経済の最も中心的な生産力であり、その生産技術と生産活動が日本経済を根底から支え、発展させてきた原動力です。大企業のもとに下請け、孫請けとして中小企業、零細企業が存在し、工業製品の生産、橋や道路や建物の建設などを実際に支えています。大企業は中小零細企業労働者を安くこき使い、搾取することで莫大な利益を上げているのです。
 私たち労評は、社会を根底から支えてきた労働者の誇りある労働が不当に搾取されることを許しません労働への誇りを取り戻し、労働者の権利を守るためには労働組合が必要です

労働運動の現状

 しかし、会社による理不尽な解雇、労働基準法違反、賃金切り下げ、不払い、労働強化などが行われても、中小企業労働者は自分たちの権利を守るための労働組合がありませんでした。中小企業で働く労働者の労働組合への組織率は極端に低い状況にあります。戦後の日本の労働運動は大企業、官公庁中心の労働運動であり、日本の労働者の7割を占める中小企業労働者を組織しようとしませんでした。中小企業の労働組合への組織率は常に1%台を超えることなく、中小企業労働者は労働運動の圏外に放置されてきたのです。広範な中小企業労働者の仲間が、労働組合もなく無権利状態で苦しんでいるにも関わらず、それを見て見ぬふりをする労働運動は、本来の労働運動の役割を果たしているとはとても言えません。実際、組合に入っている労働者からも「自分は組合員なのに、相談をしても全く闘ってくれない」という声をよく聞きます。これが現在の労働運動の現実なのです。
 日本の主要な生産力としてあり、広範に存在する中小企業労働者にこそ日本労働運動の主軸となれる力があると私たち労評は考えます。これを中小企業路線と言います。私たちは、特に中小企業での組合活動に力を入れています。労働者は生活の実際から真の労働運動を求めており、労働者のもっている階級的力を引き出し、日本労働運動の再興を成し遂げていくことを私たちはめざしています。


労評のめざす労働組合運動

 労評の綱領から引用しましょう。「労働運動において、個人的利益だけの実現ということはありえない。なぜなら、経済闘争における賃金問題、未払い残業代問題、その他労働条件に関する問題、それらはすべて個々に存在する問題ではなく、資本家階級と労働者階級の階級矛盾から成り立っているからである。資本家階級の労働者階級に対する搾取がなければ起こりえない問題であり、資本の搾取という一貫の中で起きてくる問題である。すべての経済闘争は階級的であり、まずもって、労働運動を階級的労働運動としてつくりあげなければならない。階級的労働運動は、労働者個人に対するどのような資本家の攻撃も労働者階級全体に対する攻撃として捉え、労働者の団結した共同の力でもってはねのけ、労働者階級の階級利益を守り抜く労働者階級自身の運動である。もし、このように階級的に捉えることなく、資本家の労働者に対する攻撃を個人の問題として、あるいは他の工場の労働者の問題を自分と関係ない問題として、個人的な、狭い、非階級的見方で労働運動の指導部が捉えるならば、労働者の関心は「自分の賃金はいくら上がる、自分はいくらもらえる」という個人的利益しか向かなくなるであろう。このような自分の目先の利益に終始する意識に根差した労働運動を労働組合主義というが、労働組合主義では労働者は階級的団結に目が向かず、その結果、労働者の階級利益は損なわれ、労働組合は形骸化していくであろう。」

これが労評の目指す労働組合運動です。


 

一人の労働者への弾圧も許さない!

 労評は「一人の労働者への弾圧も許さない」という精神のもと、常に労働者に寄り添い、団結の力で労働者の権利を守ります。経済闘争における様々な問題は、労働者個々人の問題ではなく、本質的には資本家階級と労働者階級の間で起こる問題です。どの資本家も、労働者が生み出した社会的富、価値を搾取しており、その搾取制度を維持するために総資本として結束しています。総資本に階級的に対決する総労働を構築し、全労働者が団結、連帯していくことをめざします。
 労働者個人に対する資本の攻撃は、労働者全体に対する攻撃として捉え、社会を支えている労働者の日々の労働が搾取されていることを労働者階級として許してはなりません。私たち労評は、労働者階級の矜持と誇りをもって、労働者全体の階級利益を守るため、階級連帯の力で闘います。そこにおいて、困難の程度、金額の多少、規模の大小に関わらず、そこに道理があるのなら徹底して最後まで闘います。
 もちろん、「一人の労働者の弾圧を許さない」という精神は、どの企業で働く労働者にも当てはまるものですから、取組む分野を中小企業に限定しているわけではありません。例え遠く離れた地域の一面識もない労働者の闘いであったとしても、階級的仲間の問題として取り組みます。また日本には200万人以上の外国人労働者がいますが、国籍や文化、習慣などが違っても同じ階級的仲間です。外国人労働者への不当な差別、搾取とはともに闘います。
 
プロフィール
  日本労働評議会(労評)神奈川県本部 mail:rohyo.kanagawa@gmail.com
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